No.5
<夢から覚めて…生きている!>

 うっすらと目に見えてきたのが、白い壁にピンクのカーテンで仕切られた部屋でした。
 自分はそのとき、『ついに来るところへ来たか。』と思った。

 自分の近くを通られるピンク色のユニフォームを着た人が見えたので、

 わたし:「ここはどこですか?」
     と訪ねました。

 看護師さん:「心配しなくても良いですよ、病院の集中治療室ですのでゆっくりと横になっていてく
     ださい。」
     と言われ、周りを見渡した。

 確かにそうです。点滴は2つぶら下がっているし、心電図は見えているし、自分の鼻から口にかけて
 酸素マスクは見えている。

 「あっ、そうだ自分は手術をしたんだっけ。」と気がついた。
 「ふっー。さっきのは夢だったのか? 夢で良かったー。」
 もう、死を覚悟の上挑んだ手術でした。やっぱりまだ生きたいという気持ちが夢に現れたのでしょう。
 (Hmさんありがとうございました。あなたが起こしに来られなかったらまだ寝ていたでしょう。)


<集中治療室から一般病棟へ>

 時計が見えて、時間が気になり見てみるとお昼過ぎ、なんだかお腹が空いてきたな?でも1回目の手
 術のときに【喉が渇いた水がほしい】と言ったことを思い出して、今度は気をつけようと心の中でつ
 ぶやいた。
 自分の中になにか寂しさを感じていたのであろう。
 しばらくしてから、集中治療室の看護師さんが来られ

 看護師さん:「もうそろそろ病棟に帰りますよ」
  と言われ、ホッと一安心しまして、集中治療室の看護師さんに

 わたし:「今日は何曜日ですか?」
  と尋ねる。

 看護師さん:「今日は木曜日ですよ」
  と答えられて、手術室に入ってから1日たったのか。
 手術の説明を聞いていたときには、集中治療室に3日間いなくてはならないとの説明を聞いていたの
 で心配であった。
 集中治療室の看護師さんが

 看護師さん:「今、担当のドクターと連絡をしましたところ、一般病棟に帰れますよ。」

 との声に、ガッヅポーズをしたいくらいでした。
 病棟の看護師さんが迎えに来られたと同時に、地元の方がわざわざ面会に来られ「元気そうだね、顔
 を見に来ただけだからすぐに帰るから、元気出して頑張るんだよ!」と言い残して行かれました。
 迎えに来られた看護師さんが「手をあげて見せてください。」と言われ、私は「?」目をパチクリパ
 チクリするしかありませんでした。
 後で分かったことなのですが、手術が終わり、麻酔が切れているかを確かめるために名前を呼ばれた
 そうです。そのときに元気よく手をまっすぐに上げて「はい。」と返事をしたので、手術を行ったス
 タッフ一同がビックリされていたそうです。

 看護師さん:「病棟に帰りますがしばらくはカメラつきの個室に入ってもらっています、酸素吸入マ
     スクもこのままで、担当ドクターより指示があるまで取れません。それと身体に3本の管が
     通っているのでこれもドクターより指示がないと取れません。」との説明がありました。

 わたし:「管が3本も!!はいっている。しばらくは酸素マスクはしていなければならないってー。」

 その時このままどの様になるのかと思いました。 


<病室へ戻る~「おかえりなさい!」>

 病棟へ着くなり聞き覚えのある声がしてきて、病室へ入っていたところ、またまた1回目の手術のと
 きと同様で病院スタッフよりも、自分に支援してくださる方の人数の多さに驚かされました。

 わたし:「きゃ、なんちゅう多くの人が集まってくれたがん、ありがとう。」
  と心の中でささやくことしか出来なかった。
 
 センター: 元気な声で「おかえりなさい。」
  と言う声で安心して、また眠ってしまった。
 
 しばらくしてから皆さんが帰っていかれたそうです。


<手術を終えて 数日間の思い>

 お腹が空いたため目が覚め、
 
 看護師さん:「目が覚めましたか?夕食の時間ですがどうされますか?」
 わたし:「食べてみます。」
  と言った、しかし食事は全粥、「まあいっか、水分も取れるし」
 夕食も終わり、木曜日に当番を引き受けてくれた方が来られ、

 わたし:「今日集中治療室よりこの病室に変わってきたばかりだよ」
  酸素マスク越しであったため、

 当番を引き受けてくれた方:「今日面会に来ただけだよ。無理して話をしなくてもいいよ。」
 しばらく様子を見ながら、自分の眠るのを見てから帰られた。

 術後2日目
 お粥の嫌いな自分にとっては、朝食もあまり進まず「しばらくはお粥を食べなくてはいけない!しか
 たないか。」と言いつつも昼食には万寿がついていて、甘いものが好きな自分は、食事は3分の1し
 か食べず、万寿だけはしっかり食べました。(地元では氷室万寿というそうです。)
 
 術後3日目
 朝、担当のドクターが病室に来られ

 ドクター:「大分元気そうだな!でももうしばらくは酸素吸入必要だから酸素吸入のマスクは外した
  ら駄目なんだぞ。」
  何も出来ず、何もすることなくただボーとしていた。 


<病院で迎えた誕生日~病院スタッフのやさしさ>

 術後4日目
 自分の誕生日、「あーァ、今年の誕生日は、この病院のベッドの上で過ごすなんて思わなかった。」
 朝食を看護師の介助してもらっているところへ、深夜の看護師さんが来られ

 深夜の看護師さん:「Aさん、今日誕生日だったんですね。」
 わたし:「はいそうです。」
 深夜の看護師さん:「もう少し早くそう言ってもらえば良かったのに、とりあえずおめでとうござい
     ます。」
  と言うと、朝食を介助されている看護師さんが

 介助をしている看護師さん:「何かプレゼントあげれば?」
  と言うと

 わたし:「気持ちだけで良いです。荷持つが増えるだけですので。」
 深夜の看護師さん:「優しいんですねAさんは」
  と言うと看護師さんはスタッフルームに戻っていかれました。
  (カルテに生年月日が書いてあるのを観られて来たのでしょう。)
 
 担当のドクターが病室に来られ、

 ドクター:「酸素吸入は終了するか。」
  と言われ取りはずされた。
  と同時に心電図脈拍計も取り外されて、「よしゃ!やった」と思いました。
  それからしばらくして、Cさんが来られ、

 Cさん:「今日が誕生日ですね、おめでとうございます。プレゼントに飲み物買って来たよ。」
     と言われ少し飲んでいた。
 そのときに、Cさんより「手術の終わるのが3時間早かったそうだよ。」と言われ自分の中で計算を
 していた。〔計算してみると大分寝ていたんだなァ。〕

 しばらくして担当医が来られ、同時にその日の担当の看護師さんより、今日が自分の誕生日と聞いた
 ドクターは

 ドクター:「プレゼントは渡せないけどチューブ3本のうちチューブを1本取るか。」
 
 「よしゃ!やった」と思いました。
 チューブを抜かれているときの痛さはもう味わいたくはない。「痛~~い!」 

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