No.4
<手術前夜 一足早い誕生日祝い>

 手術を明日に迎え、リハビリ・手術に控えての検査

 夕食の終わり、夜9時より食べ物は食べられない、夜中の12時を過ぎると水分も取れない、という
のは今年に入ってから2度目の経験かと想うと、「もうこう言う経験は終わりにしたい」と思った。
 しばらくしてCさんが来られて、サークルの人たちの寄せ書きをされた色紙をテーブルの上において

 Cさん:「皆からの応援メッセージだよ!これに負けたらあかんがんだよ」
     って言ったことで色紙を呼んでいると、センターの方が来られ、

 センター:「Aさん、今から書類を作成したいので来ました。」
 わたし:「あっ!、そうやった。では今から車椅子に乗せてもらってから、ディールームへ行きます
     ので先に行っていて。」
  と言うことで、先に行って待ってもらいました。
  書類上の関係者(Cさんご夫妻、センターの方2名、私の計5名)全員集まり、Cさんの方より

 Cさん:「書類を書く前に、Aさん今度誕生日でしょう。そう想ったのでケーキ持ってきたよ。」
     と言われて喜んだのが本人、「でも、明日は手術の日だし・・・」そこへ、たまたま看護師長
     さんがこられて話を聞いておられて

 看護師長さん:「エッ、そうなのそれは、それはおめでとうございます。9時までなら大丈夫だよ」
  と言われて照れくさかった。
 
 そこへ、Cさんつながりで知り合いになった方で地元の方が来られ、お見舞いにと言うことで

 お友だち:「造花ではあるけれども、どこか飾るところありますか?」
  と聞かれ、

 わたし:「全然問題はないよ、荷物をずらしてでも飾ります。ところで話は変わりますが、Cさん今
     来ておられるよ。」と言うと驚かれ、お互いに挨拶をされていました。
     当の本人はと言いますと、ケーキを目の前にして食べないわけにはいけない。それを察知し
     てCさんは

 Cさん:「ケーキ食べる?介助してあげるよ」
     と言われ食べていたら、お見舞いに来られた人が

 お友だち:「これ何かあったんですか?」
 Cさん:「Aさんの手術前日で悪いんだけれども何日か後には誕生日を迎えられるんです。でも明日
     は手術の日だし、しばらくは食べられないでしょう。だから今のうちにと思い。」
 お友だち:「エッ、そうなの?」
 わたし:「△日後です。」

 ケーキを食べ終えて、書類にサイン(本人のところ代筆お願いいたします。)書類の確認を終えてか
 ら、帰っていかれました。

 当の本人は、
 
 看護師さん:「手術に控えてトイレ(浣腸にて)、便を出しておかないとだめだよ」
  と言われ。
 わたし:「せっかく今食べたばかりなのに」
  とのひとりごと。
 ベッドに入るが、眠れずに・・・。 


<手術日の朝 不安が入り乱れる中、いざ出陣!>

 Z病院での手術を受ける日

 手術を受ける決心がついたとはいえども、今回の手術でどう転がるかわからない。
 もし万が一のことがあったら、今日で・・・・・と言ってしまうのがいやだった。
 体温血圧を測り、ストレッチャーに移り、手術室に向かう。
 手術室に入る直前にセンターの方が、
 
 センター:「Cさんが今、こちらに向かっておられるとの伝言で、時間には間に合わないけど『がん
      ばられ』 とのことでした。」

 その気持ちで十分です。心の中にしまい、その日の担当の看護師さんに「よろしいですか?」と聞か
 れ、「はい」と答え、いざ出陣という気持ちで、ストレッチャーで手術室に入っていった。


<手術室へ向かう・・・麻酔と同時に夢の中へ>

 手術待機場所でしばらく待つこと、手術室担当看護師さんが来られ、
 
 看護師さん:「Aさんですか?」、
 わたし:「はい。」
 看護師さん:「今、準備中ですのでもうしばらくお待ちいただけますか。」
  と言われても、今からまた出て行って話も出来ないしと、そんなことを考えていると、

 看護師さん:「はい、お待たせいたしました。今から手術に向かいます。」
  という声が聞こえ、ストレッチャーで移動。
 手術台に乗る前に麻酔のマスクをされると同時に、Z病院に入院するときにいただいた涅槃団子で作
 られた〔亀さん〕のお守りが左右に揺れていることが見えてきた。催眠術をかけるかのように。「ゆ
 っくりいこうよ!ゆっくりと。」〔亀さん〕が語りかけてきた。

 もう夢の中。
 ドライブをしている、車のルームミラーのところで〔亀さん〕が揺れている。
 街の中を通り抜けて、山道。
 「何処の山道だろう来た事のあるようで、来たことのない道だけれど。」
 「何処だろうか?何処まで行くんだろうか。」


<夢の中でも、みんなからの励ましの声>

 場面が変わり、自分がマラソンをしている。
   
 「何でマラソンをしているんだ?」

 沿道には、センターの方をはじめその周囲のかたがた、Cさんをはじめ周囲のかたがた、県外で共に
 戦い友情を深めていた県外のライバルたち、会社の人たち、ヘルパーさんたち、小学時代から喧嘩を
 してきた仲間、自分の一方的な片思いにおわった人たちが集まっている。
 皆、自分にこんなことを叫んでいた。

 「そんなことではお前らしくないぞ!!へこたれずに頑張らんにゃ。」
 「そこで気を抜くな。」

 皆、何で?そこで叫んでいるんだろう。
 ゴールラインが見えてきた。ゴールラインが見えているのに、届きそうで届かない、離れていく一方
 自分は尻を地面の上でつけて座り込んだ。

 「なんでゴールラインが離れていくのだ!」
 と叫んだ。
 今は亡き友人Hmさんが自分の前まで来た。しばらく黙ったままただ立ちっていた。
 自分は、ついにお迎えが来たかと思った。
 Hmさんが話をした
 「Aさん、そんなところで眠っとって良いがんけ!あんたらしくないよ、やることまだまだいっぱい
 あろうがね。はい、はよう起きられんかね!起きろう。」

 と言われ、身体が飛び上がるくらいに驚いて目が覚めた。


<今は亡き友人との出会い、思い出>

 (Hmさんとは、もう何年前かなァ、病気で病院に入院されて、こじらせたのかな?肺炎で亡くなら
 れたそうです。
  自分との出会い?そう、あれは国際障害者年の年だった、自分が書いた詞に感動されてお手紙の入
 った小包が届いた。その中に手製の猫のぬいぐるみとちぎり絵で描いた猫の絵でした。自分も猫は好
 きでしたので、すぐに返事を書きました。文通をすることになり、手紙で読ませていただいて障害を
 お持ちだと知りました。自分のほうが忙しくなり、年賀状だけのやりとりになり、何かのきっかけで
 Hmさんが利用されている施設へ訪問するようになり、顔なじみになっていくうちに、いろんな会話
 をすることがありました。Hmさんも趣味を増やされたそうで大変良かったと思いました。
  そして、自分がHmさんと最後に会ったのが亡くなられる1・2ヶ月前で、そのときに話をしたこ
 とは「Aさん、おもしろいスポーツにはまったものだわ、その気持ちが私にも分かっただけでも嬉し
 いわ、ありがとう。」と言うのが最後でした。)

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