<病院で迎えた誕生日~Bさんのやさしさ>
しばらくしてから、Bさんが病室に大きな箱を持って来られた。
Bさん:「これ山形へ行ってきたお土産だぞ!ところでCさんは?」
その日介護できておられたCさんはディールームにてコーヒータイム、BさんがCさんを呼びに行っ
ている間、
「こんなに持って来てどうするんだろう?今日みたい日にセンターの方が来てくれないものかなァ!
」と思っていた。
CさんBさんが病室に戻って来られ、しばらく話をしておられてCさんが自分に話を振ってこられた
Cさん:「よかったぜ!すばらしい誕生日プレゼントになって、こんなにいっぱいどうする?」
と言われ、Bさんは
Bさん:「えっ、今日お前の誕生日か?!」
と言われ無理もないよな、もう何十年も会ってなかったから。その後で、良い言葉をかけていただ
きました。
Bさん:「病院入院中にお世話になっている方にも食べてもらえや。」
といって、自分が3粒ほど食べていたら、Bさんは安心されて
Bさん:「じゃ、帰るから、あせらずに治すんだぞ」
と言われ帰っていかれました。
〔2泊3日の旅、毎年の計画で部落の行事としていろんなところへ旅をされているそうで、今年は自
分が手術をしたことで少し早めに帰ってこられたそうです。〕
その後Cさんが自分に「何処に配るの?」と言われ自分が答えたところに配れるように準備をしてく
ださいました。(感謝)
<ちょっとしたハプニング…>
後日、センターの方より「ごめんなさい。」と言われ、「???」という気持ちで内容を聞いたとこ
ろ、
センター:「手術のときに、もしもの場合に電話にて連絡が入ることになっているのに連絡が一つも
入いらないので心配がつのるばかりで、連絡がはいったのは、手術終了予定時刻の3時間
前で、連絡を受けたときには、《ひょっとして》悪いほうを考えられたそうです。《わた
し:「無理もないは」》。
ところが手術が無事に終了したとの知らせで、喜びはしゃいでいたら、Aさんの貴重品入れのカー
ドキーを預かっていたものをなくしてしまい、作り直してもらったから心配しなくてもいいですよ
。」
と聞かされ、キーの心配よりも、はしゃいでいて転んでそちらのほうがけがしなかったかとの心配
だわ。《手術終了予定時刻は夜10時で、手術終了したのが夜の7時だたそうです。》
<看護師さんとの声かけ 毎日の日課>
自分が検査のため外来のほうで受診を受けるときに、外来で病棟の看護師さんが
「Aさん元気」
と手を振り叫んでいるから、外来患者さんの注目の的となってしまった。
それが、毎日の日課になりつつあった。(はずかしという気持ちでした。)
何故って? すぐに目に付きやすいX病院の車椅子の色、誰にでも分かる色の車椅子を借りていきま
した。
<Z病院退院の日!>
朝食が終わり、しばらくしてから迎えの人たちが病室に来られた。
荷物も片付けていただき、スタッフルームへ顔を出されに行かれました。
看護師さん:「○○回診ですのでそれが終わってから手続きをしましょう。」
と言うことで、しばらくディールームで待っていただいた。
○○回診です。
今までの経過と今後の見通しを話されていた。
回診も終わり、いよいよZ病院ともお別れです。
自分の食事を介護していただいた看護師さんとの会話の中に有名な方を知っておられるとか、
わたし:「自分もそういえば有名な方に、Tシャツにサイン書いてもらった、荷物の中に入っていた
のを見かけたけれど」
と、話は盛り上がり
看護師さん:「じゃ、退院するときにそれ着て見せてよ」
と言う出来事があったことを思い出して、そのTシャツを着ることにいたしました。
Z病院でお世話になりました看護師長さんに挨拶をして、
看護師長さん:「これからも頑張るがんだよ」
といわれ、伝達状、X病院より持ってきたもの、Z病院からのコピーのものを迎えの方が受け取っ
ている間、約束をしていた看護師さんの姿を探していた。
約束をしていた看護師さんの姿をみつけるなり名前を呼んだ、ビックリされて
わたし:「退院するときに約束していたものを見せに来ました。」
と言うと
看護師さん:「どれどれ、何処に書いてあるの?」
わたし:「背中だよ」
と言うとTシャツの背中を見て、
看護師さん:「本当だ!」
看護師長さんに報告されているところへ、スタッフルームへ集まってこられた看護師さんたちが、何
事が起きたのだろうと集まってこられた。Tシャツの騒ぎを聞きつけて、皆さんにお披露目するこ
とになりました。
そのおかげで、病棟エレベータの前まで看護師長さんを先頭に看護師さん皆さんに笑顔で見送られ、
Z病院を退院いたしました。
<X病院退院!!11ヶ月の入院生活>
X病院退院の日
今日で本当に退院できるんだ。と思うと、この3ヵ月半に出合い・励まし合ってきた仲間がいたこと
に気づかされました。昨日、お茶会を開いてくれて激励をしていただいた人たちがいました。
退院するとき自分は思いました。「生きているんだ!」と
お茶会を開いてくださった方々に病棟で挨拶をして、そして病棟の看護師長さんにも挨拶を終えて病
棟を離れようとしたとき、
担当看護師さん:「ちょっと待って」
との声がかかり、何と思いました。
担当の看護師さんから花束を渡されてビックリと同時に照れくさいと言う気持ちでいっぱいで何も言
えなかった。
そこへ、看護師長さんの一言突込みが良かったのか
看護師長さん:「Aさん、顔に似合わず照れることないよ」
と言われ笑いの渦と共に笑顔で見送られました。
そしてもう一人に挨拶をしていないので、「挨拶をしに行く」と言って向かっていった。
「見送るから一緒に行こう」
と言われ、玄関のほうに向かっていたら、次第にお茶会に参加した人たち、日ごろ会話の輪に入って
いた人たちが集まり始めて、玄関で
「見送りに来たぞ」
と言われて、皆から握手を求められて、ひとりひとり握手をしていくうちに涙がこみあげてきた。
(この場で生きて見送られるとは思いもしなかったので、2回目の手術で「死」を覚悟のうえで望ん
だからであった。)我慢、我慢と自分に言い聞かせて、こらえていたのに、タオルを持って泣いてい
る人が再度握手を求めてきた。
「退院するのだから、笑顔で見送られたいのに」と思いつつも、見送りに出てきてくれた人の、ひと
りひとりの顔を見ているうちに我慢が出来ずに涙があふれ出てきました。
そして、タオルで涙をふき取っていた人に
「2日後、外来に受診にきたときにまた顔を見せに来るから、笑顔で見送って」
と言ったら、
「待っているから」
と言って最後までタオルで涙をふき取ることが止まる事はなかった。
やっと家に帰れるんだ。
まっすぐに上がらない腕を精一杯上に上げて手を振った。
<最後に・・・>
追 伸
外来受診に行ってきたときに、病棟に立ち寄らなくてはならない用事がありまして、立ち寄りました
ところ見送りに来てくれた人たちが集まってこられ周囲を取り囲まれました。
この1年間、苦しみも有ったけれど、病院は病気を治すためだけではなく、周囲の人たちの愛情を感
じられてこそ病気を治してまた皆で良い思い出を創るために、どちらかを選択をするのです。
当方に、ご支援、お見舞い、元気で戻ってくることを願っていてくださった皆さん、ありがとうござ
いました。
Y病院スタッフの皆さん、Z病院スタッフの皆さん本当にありがとうございました。
X病院の皆さんこれかも頑張ってください。ありがとうございました。
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