私的「生きる場センター」の歩み⑦
◆ 生きる場作りへ向けて( 1 9 8 5 年2 月)
平井さんが1 年間廃品回収などを通して取り組んできた実践を経て、1 9 8 5 年2 月に「生きる場センター」
が誕生します。
「ふれあいをもとめて第6 号」( 1 9 8 5 .2 .1 発行) には、生きる場センターを始めた時のことを平井さんはこ
う書いています。
《今年から生きる場センターとして》
○ 1 年間の成果を生きる場センターに
廃品回収をやり始めてから1 年が経ちました。短くて長く感じられる1 年が、時には雨に降られ、時には
雪に降られながらも続けてきました。この仕事を行うまで、全く出会ったこともない人達とふれあいながら
切り開いてきたものを、私一人で抱えることなく、もっと多くの障害者とやりぬいていきたいと思い、「生き
る場センター」というものを作って行うことにしました。
私達障害者の多くの仲間が「就職」という壁にぶつかりながら、一般の人々がごく当たり前のように地域
で生活をしながら生きていることが、障害者にとっては諦めさせられ、そして絶望にかられながら、ある者
は閉じこもりがちになり、またある者は家族から離れて行きたくもない施設に入っていく人達が大勢います。
私は過去の自分を振り返りながら、自分たちの道は自分が切り開いていくしかないという実感と信念のもと
に、今年から仲間と共に廃品回収をしていくことにしました。どこまで何ができるか分かりませんが、仲間
と共に回らせてもらいたいと思っていますのでよろしくお願いします。
○ 「生きる場センター」とは
目的としては、施設や家の中で閉じこもって生きていくのではなく、もっと外に出て広い地域社会で生活
して生きていけることを目指したいということなのです。決められた「労働」の価値観では私達が働くとい
うことが難しくなります。しかし、自分たち障害者にとって地域社会で生きていくことをいろいろと障害者
自身が「労働」として行っていくことがあると思います。ある面では、「労働」の創造であり、価値観の変革
だと思います。常に模索の中に何かを見出していきたいと考えています。
1 9 8 5 年2 月の雪の降る寒い日、平井さんの声掛けでサンの会のメンバーが中心となり6 人の障害者・健常
者が南富山駅近くにあるサンの会の事務所に集まりました。その一人、前坂清さんはレザークラフトの教室
に通い技術を身につけ、それを生かそうとしていました。また、梅次春美さんは一般企業に就職するべく職
安へ通い続けていましたが、なかなか紹介されないまま時は過ぎました。村上千津子さんはお子さんを抱え
ながらも社会の中で何かしたいと考えていました。河上千鶴子さんは得意の裁縫などを通して何かできれば
と考えていました。
私もそのメンバーの一人に加えてもらったのですが、ちょうど大学を中退し、これからどうやって生きて
いけばいいのか悩んでいた時でもあり、将来の保障も何にもないけれど、この新しい「生きる場」というも
のに一筋の光を感じていたのです。( つづく)
編集後記 今回号より「あ そぼうよ」は新た なスタートをきる ことになりました 。 これからは、各部 門多くの方々に情 報発信が出来るよ う試行錯誤と模索 をしながらではあ りますが法人関係 者全員で力を合わ せて活動してまい りますので、今後 ともよろしくお願 い致します。 |
編集人:自立生活支援センター富山
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