障害者自立支援法案 連続学習会
北野誠一さんを迎えて 講演会開催
介護保険と障害者自立支援法案
 さる10月1日(土)東洋大学教授北野誠一さんを迎えて「介護保険と自立支援法案」と
いうテーマで講演会を開催しました。障害者自立支援法案が国会での審議をひかえた時期
だったため、雨の中たくさんの方に集まっていただくことができました。
 2時間以上に渡っての講演でしたので全てをご紹介することは出来ませんが、以下かい
つまんで紹介します。まず介護保険の問題点として①高い単価のサービスを受けると利用
時間数が減る②今後個室化が進むと費用負担の問題が出る③在宅か施設かの選択権がある
はずだが現実的には在宅での一人暮らしは無理という3点がある。また法改正で二次審査
が厳しくなってきた。要支援-要介護という仕組みでお金を使っても成果が上がらないの
で予防給付で進行を止めろといわれている。85歳を越えると介護を必要とする人が増える
ため軽度から重度にシフトするのが世界的な流れとなっているが予防給付の効果は比較対
象されていないので証明されていない。支援費の問題点として家族の状況により親に介護
して貰えという市町村の決定もあり得る。障害者の権利が完全に保障されているわけでは
ない。
北野氏講演会 写真
 しかし西宮市の場合、障害者団体とサービス業者と三
者で話し合って支給基準をつくった。制度設計を間違え
なければそれなりに使える。
 自立支援法案の介護給付は2009年~2012年に介護保険
に統合されていく。訓練等給付は障害者独自のサービス
(就労関係の支援)として残るだろう。市町村の独自の
判断で行われるメニュー事業として地域生活支援事業が
ある。社会参加促進事業のようなもの。ただし介護給付
と訓練等給付が個別給付なのに対して地域生活支援事業
は包括的給付なので不足分は市町村持ちだしとなる。相
談支援事業についても市町村の裁量権が大きく地域間格
差が出てくる可能性がある。ニーズが正確に把握されに
くい精神障害、知的障害については認定審査会の委員が重要な役割をもってくるだろう等
が話されました。
 講演終了後の質疑応答では、支援費の自治体間格差について滋賀県ではショートステイ
を使わないかも知れないがニーズとしてあげておいたため数が多かったという北野先生か
らの説明がありましたが、関連して富山ではショートステイの利用が必要になる可能性が
高いので事前に行政に申請に行ったが「今すぐ必要でないものには出せない」と言われた
という報告がありました。こうした行政の対応の違いが支援費利用の差につながっている
のかもしれません。 また、今まで多く出していた政令指定都市(名古屋市、横浜市等)
は、新しい仕組みの下では費用負担が国1/2県1/2市1/2になるため、県の意向が強
くなり政令指定都市が出したくても県がストップをかけて平準化される可能性が高いとい
う説明もありました。
 さらに、今までは最重度の全身性障害の125時間、中程度で50時間、軽度で25時間と3
つの枠組みを国がもっていて、重度の人が多い自治体は軽度の人の分のお金をまわして使
っていたけれど、これからは他の障害区分で余ったお金は利用できないようにするので重
度の人が多い市町村は自己負担が増えるだろうというお話も北野先生から出されました。
 民主党の対案についてどうだろうかという質問に対して、民主党は旧来の支援費制度を
ベースとしての対案を考えていて社会参加に関する費用とコミュニケーションに関する費
用は別立てで出しているけれど、政府の出している自立支援法をきちんとふまえてその問
題点を明らかにしないと議論にならないだろう。下手をすると強行採決になるのではとい
う北野先生の回答でした。
 次回の連続学習会は11月13日(日)サンシップにて。是非ご参加ください。